前回の記事では、定年後に多くの人が選ぶ「再雇用」についてお伝えしました。
慣れた職場で安心して働ける一方、収入の激減という落とし穴があることを見てきましたね。
ではもう一つの道、「定年延長で65歳までフル勤務する」という選択肢はどうでしょうか。
現役時代と同じ給与水準で、厚生年金に加入し続けられる――まさに理想的に見える働き方です。
しかし実際には、この道を歩めるのはごく一部の「恵まれた人」に限られている、という現実があります。
高齢者就業は増えているけれど…
令和6年版「高齢社会白書」によると、65〜69歳の就業率は50%を超えています。
70歳を超えても3人に1人が働いており、「高齢になっても働くのが当たり前」の時代になりつつあります。
さらに、政府は企業に対して65歳までの雇用確保を義務化。
加えて「70歳までの就業確保」も努力義務として制度化され、企業の姿勢も少しずつ変わってきました。
その流れを受け、定年年齢そのものを引き上げる企業も少しずつ増えています。
社会全体としては「高齢者がフルタイムで働くことを後押しする方向」にあるのは間違いありません。
しかし冷静に数字を見てみると――
実際に65歳まで正社員フルタイムで働いている人は全体の13〜14%程度にすぎないのです。
つまり、就業率が高いといっても、その大半は「再雇用」や「嘱託」「契約社員」といった非正規の働き方。
「65歳まで現役同様にフル勤務できる」のは、まだまだ恵まれた一部の人に限られているというのが現実です。
65歳までフル勤務できる人のメリット
ごく一部の人に限られるとはいえ、もし定年延長で65歳までフル勤務できるなら、その恩恵は大きいものです。
- 収入が現役時代とほぼ変わらない
→ 生活費を貯金に頼らず、老後資金を積み増すことができる。 - 厚生年金に加入し続けられる
→ 年金額を最大化でき、65歳以降の生活も安定。 - ライフスタイルを変えずに済む
→ 環境やリズムをそのまま維持できる安心感。
経済的には、まさに「一番安心できる働き方」といえます。
それでも知っておきたいリスク
ただし、この恵まれた働き方にも見落としがちなリスクがあります。
- リタイア後のギャップ
→ 65歳まで全力で働き続けた反動で、退職後に「急に空白ができた」と感じる人は少なくありません。 - 体力的な負担
→ 今は平気でも、週5日フル勤務を65歳まで続けるのは体に負担が大きい。ある日突然「もう無理だ」となることも。 - やりたいことの機会を逃す
→ 仕事一辺倒のまま65歳を迎えると、趣味や学び直しに時間を使う機会を失ってしまう。
現実を踏まえて考えたいこと
ここまで見てきたように、65歳までフル勤務できるのは恵まれた一握りの人だけです。
多くの人は再雇用や非正規という形で働き続けることになります。
だからこそ大事なのは、
「自分が65歳までフル勤務できる恵まれた側なのか?」ではなく、
「自分はどの選択肢を現実的に選べるのか」を考えることです。
そのために必要なのは――
- 年金や生活費をシミュレーションしてみる
- もし収入が減るなら、副業や資産形成で補う
- 健康や体力を前提に「どう働きたいか」を考える
といった、自分軸での準備です。
まとめ
- 社会的・制度的に「65歳までフル勤務を続ける道」は広がりつつある
- しかし実際には、正社員フルタイムで65歳まで働ける人は全体の13〜14%程度にとどまる
- 経済的には非常に恵まれた働き方だが、リタイア後のギャップや体力的な負担といったリスクもある
- 多くの人は再雇用や非正規で働くのが現実。だからこそ、自分が選べる道を冷静に見極めることが大切
定年後の人生はまだまだ長い。
「制度があるから働く」のではなく、「自分に合った働き方を選ぶ」ことこそが、後悔のないセカンドライフにつながります。


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