シニアの4人に1人が「働きたい」のに働けない現実
今回は「60歳からの仕事探し」について少々厳しい現実についてお話します。しかし現実を知ることで対策と突破口も見えてきますので、ぜひお読みになってください。
60歳を過ぎても、まだまだ働きたい――。最近の調査では、専業主婦を含めたシニア層の約4人に1人が「ぜひ就労したい」または「やや就労したい」と答えています。
健康寿命が延び、年金だけでは不安、社会とのつながりを持ち続けたい…理由はさまざまです。
しかし、現実は厳しく、「仕事を探したけれど見つからないので諦めた」という人がシニア層の半数を超えています。
求人票に「シニア歓迎」と書かれていても、本当に採用されるのか…そこには企業の本音と市場の構造が隠れています。
求人市場の実態 ― 人気職種の裏にある真実
なぜ現役世代に不人気な仕事がシニアに人気なのか
シニアに人気の職種としてよく挙げられるのが、オフィスワーク、清掃、福祉・介護、警備、物流ドライバー、接客販売などです。
人気と言われても・・・。ちょっと違和感を感じてしまいますよね。
実はこれらの多くは現役世代には敬遠される仕事です。人手不足が慢性化しているため、シニアでも採用されやすいのです。
つまり、「人気=やりたい仕事」ではなく「採用されやすいから選ぶ」というケースが多いのが実情です。
ハローワークが勧める“視野を広げた”仕事選び
ハローワークの担当者は「もっと広い職種に目を向けてほしい」とアドバイスします。
結婚相談所でのパートナー探しに似ていて、全ての条件がそろう仕事は少なく、「どこで妥協するか」が重要になってきます。
企業がシニア採用をためらう理由
正社員・アルバイト採用で見える業界別傾向
2023年の調査によると、人手不足を感じている企業のうち、シニア採用に積極的な正社員求人はわずか約38%。特にIT、広告、印刷業界では8割以上が消極的です。
アルバイト採用でも、フード販売サービス以外の業界では消極姿勢が目立ちます。
理由不明の不採用とその背景
驚くべきことに、企業がシニアを採用しない理由として最も多いのは「特に理由はない」という回答です。
これは、表向きは年齢で差別できないため、不採用の本音を隠しているケースが多いことを示しています。応募者からすると、何が悪かったのか分からず、次の応募にも不安が残ります。
「シニア歓迎」の落とし穴
法改正と逆効果の現実
2007年に雇用対策法が改正され、求人で年齢制限を設けることが禁止されました。
しかしこの結果、「シニアは採用しません」と明言できないため、企業は応募を受けても曖昧な理由で不採用にすることが増えました。
事例で見る遠回しなお断りのサイン
ある40代後半の応募者は、面接で「周りは若い人ばかりですが大丈夫ですか?」といった質問を受けました。これは実質的に「年齢的に厳しい」と遠回しに伝えるサインです。
求人広告に「シニア活躍中!」と書かれていても、実際にはごく一部しか採用していない場合があります。
今日からできる3つの対策
専門サイト+窓口の徹底活用
「シニア専門求人サイト」は、年齢を理由に不採用にしない企業が集まって掲載されているため、応募の無駄を減らし、精神的な消耗も防げます。たとえば「シニア求人ナビ」や「マイナビミドルシニア」などは、実際にシニア層の採用実績が豊富です。
サイトによって得意とする職種や地域が異なるため、1つに絞らず複数登録するのが鉄則です。登録後は希望条件を細かく設定し、メール通知を受け取れるようにしておくと、「応募が集中する前」に動けます。
加えて、ハローワークの「生涯現役支援窓口」も活用しましょう。ここでは、求人紹介だけでなく、応募書類の添削、面接のロールプレイ、職業訓練の案内など、具体的な支援を受けられます。
「履歴書の志望動機がうまく書けない」「面接で何を話せばいいのか分からない」という不安も、ここで一緒に解消できます。混雑しやすいので、事前予約や開庁直後の来訪がおすすめです。
人脈を武器にするリファラル採用
リファラル採用とは、社員が友人や知人を紹介し、企業がその人たちを採用する採用手法のことです。
シニア層にとって、知人や元同僚からの紹介による「リファラル採用」は非常に有効です。企業にとっても、信頼できる人材からの推薦は安心材料となり、採用コストも削減できます。そのため、応募書類だけでは突破できない年齢の壁を越えられる可能性があります。
とはいえ、単に「仕事探してるから何かあったら教えて」と伝えるだけでは効果が薄いです。相手が紹介しやすいよう、自分の希望職種や勤務条件、得意分野を具体的に伝えることが大切です。
例えば「週3日、午前中だけ働ける事務の仕事を探している」と明確にすることで、相手も適切な情報を提供しやすくなります。
また、人脈は日常的に育てるものです。地域のイベント、同窓会、趣味の集まりなど、人が集まる場に積極的に顔を出しましょう。「持つべきものは友」という言葉は、就職活動においても確かに真実です。
時代の変化に備える情報収集術
求人市場や働き方のルールは、数年単位で大きく変化します。特にここ数年は、高齢者雇用の制度変更や労働条件の改善策が頻繁に発表されています。こうした情報をいち早くキャッチできる人ほど、有利に動けます。
情報収集は新聞やテレビだけでは不十分です。自治体やNPOが主催する「就労セミナー」や「キャリア相談会」では、地元企業の採用意欲や最新の求人情報を直接知ることができます。インターネットでも、労働局や業界団体の公式サイトは要チェックです。
さらに、最近はオンラインのシニア向けコミュニティ(FacebookグループやLINEオープンチャットなど)でも、非公開求人や実際の採用体験談が共有されています。
「どの情報が正しいのか分からない」という不安がある場合は、公的機関や信頼できる求人サイトから得た情報を優先すると安心です。情報源を複数持ち、常に比較・確認する癖をつけておきましょう。
【早見表】60歳からの仕事探し 成功率を高める行動とポイント
| 行動 | 具体例 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| シニア専門求人サイト活用 | 「シニア求人ナビ」「マイナビミドルシニア」など | 年齢で不採用にしない企業が多く、効率的に応募可能 | サイトごとに得意分野が異なるため複数登録が望ましい |
| ハローワークの生涯現役支援窓口利用 | 履歴書添削、面接練習、職業訓練案内 | 無料で公的サポートを受けられる | 混雑しやすいため予約や早めの来所が必要 |
| リファラル採用(知人・元同僚紹介) | 元職場の上司、同窓会の知人からの紹介 | 採用担当者が断りにくく成功率が高い | 紹介者の信頼を損なわないよう誠実に対応 |
| 職種の視野を広げる | 人気職種以外にも警備、設備管理、軽作業など検討 | 採用されやすく応募先が増える | 無理なく続けられる仕事内容か事前に確認 |
| 情報収集とスキル習得 | 地域セミナー参加、資格取得(介護・運転系) | 新しい仕事の幅が広がる | 費用や期間を事前に確認し計画的に進める |
まとめ ― 自分に合った働き方を選び抜く力
60歳からの仕事探しは、若い頃とは全く違うルールが存在します。
企業の本音を見抜き、求人票の言葉を鵜呑みにせず、複数のルートから情報を集めて応募することが、就職成功への近道です。
これからは、「条件が合う仕事が見つかるまで待つ」のではなく、「条件を整理し、優先順位をつけて選び抜く」姿勢が求められます。
シニア世代だからこそ持っている経験と人脈を活かし、自分らしい働き方を見つけましょう。


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